当時高校2年生の彼は、浜比嘉島の伝統芸能の担い手として、また琉球舞踊を継承する踊り手として、多方面の皆さんから今後の活躍を期待されていました。

でも、家族へ金銭的に大きな負担をかける舞踊を続けていくべきか、

高校を中退し、働きながら舞踊を続けていくべきか、

たとえ続けても仕事になるのだろうか

これからの人生とは？

仕事とは？

子供と大人の狭間で、生き方について思い悩む思春期に、このお店を通してさまざまな職業の方々に出会い、お金を稼ぐことの大変さ、また人生を楽しむ多種多様な人生のあり方、生き方に触れて成長していく彼を見てきました。

そしてとうとう、高校卒業。

自分の人生へ向かって、旅立ちの時を迎えることになりました。

この島を出て行く前にせめて「卒業式」のような場を作ってあげたい。

今までお世話になった皆さんへ、家族へ、お礼を伝えたい。

子供から大人への転換期に、自分自身でなんらかの思い出の場を作る。

イベントを企画し、作っていく。

ゼロから何かを立ち上げてみる。

その経験は、これから彼が仕事に取り組む中で、きっと役立つはずだと確信し、できる限り彼が主導、私たちは後方支援で進めました。

世代を超えて浜と比嘉の集落をつなぐかなめ。そして、つなぐ場所での卒業式。

演目もタイムスケジュールも自分で決め、各演舞について皆さんに理解しやすいよう説明文を準備。

彼のバイト後継者であり島の幼馴染たちも協力して、彼の舞台を盛り上げてくれました。

コロナ禍で、多くの方々を集めることはできなかったけど、彼を親身になって見守ってくれた皆さん、そしてこれまで彼を育て支え続けたお母さんに、彼の舞踊・民謡を通して感謝を伝えることができました。

卒業おめでとう！

一緒に働いてくれてありがとう！

素晴らしい会を作ってくれてありがとう！

みなさんからの暖かい拍手や笑顔が、島を旅立つ彼の人生の糧になり逞ましく歩んでくれることを願ってます。